F-35のライバル
2015.12.23


ステルス性能を持った第五世代の戦闘機F-35の組立てが日本でも始まりました。F-35を見るといつもあるテレビ番組を思い出します。それは十数年前F-35の採用が決まった頃、アメリカのディスカバリーチャンネルで放送しいていたもので、コンペに応募したボーイングのX-32とロッキードマーチンのX-35両方の開発開始から完成までの様子のドキュメンタリーでした。両機の決定的な違いは垂直離着陸の機構にあります。B社のX-32はAV-8でも使われているジェットエンジンの排気を複数のノズルから下向きに噴射するものでした。この技術は1960年代に既に実用化されています。それに対してX-35はエンジンのノズルを下向きに変え、さらにエンジンの回転で機械的にコックピット後部に配置した大きなファンを回して下向きに風を吹き出す新しい技術を採用しました。

X-32の従来方式は地面近くのホバリング時にノズルから出た排気が地面で跳ね返りエンジンの吸気口から排気を吸い込んでしまいチョーキングを起こしエンジンが停止してしまう問題がある事が知られていました。X-35の方式は機械的に回すファンで空気を吐き出すのでそれがエンジンの吸気口に入っても全く問題が無いのです。X-35はこの新技術を実現する事でアメリカの空軍、海軍、海兵隊の全てで使用、ステルス性能、マッハ1以上で飛行、ドッグファイト、爆撃、垂直離着陸の全てが出来る事、という無茶苦茶な要求に応える事が出来たのです。

新技術の素晴らしさもさることながら、もう一つ印象的なのは外観です。X-32はお世辞にもカッコ良いとは思えませんでした。ガマガエルがノドを膨らませたような格好は滑稽としか言いようが有りません。日本でも採用が決まった事を考えるとX-35がコンペに勝って本当に良かった。

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