EuphoriaとPanicは紙一重
2018.07.04
 ミラーハイマンというアメリカ系の営業コンサルティング会社が提供するStrategic Sellingというコースで使うブルーシートというフォーマットがある。自分の追いかけている契約案件の情報を書込んで状況を整理してビジネスを獲得するためのツールで、そのなかに現在の自分の心境をEuphoria(有頂天)からパニックまでのどこにあるかをチェックする欄がある。EuphoriaとPanicは対極なのだが実は紙一重でEuphoriaは一転してPnicの状態になる可能性もあると習った。昨日のサッカーワールドカップ日本対ベルギー戦最後の逆転劇の動画を見返していてそれを思い出した。

 後半アディショナルタイムに入って48分、残り時間一分、ここで決めれば勝利という絶好のタイミングでフリーキックを得た本田の心境は正にEuphoriaだったはず。本田は良いキックをしたがキーパーの好セーブに阻まれコーナーキックとなり残り時間は30秒。今にして思えばこのコーナーキックは安全策を取ってボールを回し延長戦に持ち込めば勝つ可能性は残せた。しかし日本は監督も選手もみなEuphoriaになっていてこれを決めれば勝てる!と思い込んでいた。だから本田はゴールを狙うキックをした。結果は失敗、その直後にカウンターをくらいたった9秒足らずで1点を失ってしまった。日本代表はEuphoriaから一転Panicに陥った。

Euphoriaになると全てうまく行っていると信じ失敗のリスクが見えなくなる。そして無意識にリスクを冒すので突然失敗した様に思え「何故失敗したんだ?」となる。今後の日本代表の課題の一つはチームがEuphoriaになってしまった時に監督やベンチスタッフがそれに気付いて不要なリスクを冒さないようになる事だろう。西野監督が試合後のインタビューで「何が足りなかったのだろう」と言っていたが、足りなかった事の一つはこれだと思う。

 優勝候補相手に2点先制しあわや勝利という所まで持って行ける選手を擁する日本代表チームは既に優勝できるポテンシャルを持っている。残る課題の一つは監督やコーチ陣がEuphoriaになりがちな状況でも冷静で客観的な判断で選手をマネジメント出来る能力を獲得する事。選手だけでなく監督もヨーロッパや南米に行って修行を積むのも良いかも知れない。若い世代にもいいタレントが揃っているので今から4年後が楽しみだ。

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